お子さんの5人に4人は歯ならびが悪い!? 〜口腔機能発達不全症について〜
こんにちは、ゆいファミリー歯科・矯正歯科院長の佐々木です。
ホームページおよびブログページをご覧いただき、誠にありがとうございます。
当院は、『−1歳から生涯通えるファミリー歯科』を目指しております!
そのために歯ならびが悪くなる原因を予防するための予防矯正や、口腔機能管理に取り組んでおり、歯医者デビューしたお子さんや、出産を控えているお母様やお父様に向けての情報発信を積極的に行っております。
口腔機能発達不全症ってなんですか?
うまく噛むことができずに好き嫌いが多い、飲み込むときによくむせる、しゃべる時に舌足らずでうまく発音できない、ボーっと口が常にポカンとあいている、寝ている時によくいびきをかいている、指しゃぶりをやめない、爪をかむ癖がある、歯ならびが悪い…などの症状はありませんか?
これらのどれかに当てはまるものがあれば、「口腔機能発達不全症」の可能性があるかもしれません!
口腔機能発達不全症とは、2018年から保険診療に取り入れられた小児歯科分野の新しい病名です。
15歳未満のお子さんで、生まれつきの病気ではなく、成長発育段階での何かしらの原因によって、お口の機能が十分に発達しなかったり、上手く使えなかったりする状態のことを示します。
『食べる』『飲み込む』『話す』『鼻で呼吸できる』などの口腔機能の発達・発育不足の状態を評価して、「口腔機能発達不全症」と診断できるお子さんの数は、年々増えていると言われています。
口腔機能発達不全症の全身に対する影響
口腔機能発達不全症は、むし歯や歯周病ほどはまだ知られてはいませんが、実はお子さんの全身の健康に非常に影響があるとされています。
口ポカンの癖があるお子さんの場合、大抵の場合、舌の位置が上顎のスポットについているのではなくいわゆる低位舌の状態であり、それに伴って舌が喉の奥のほうに下がってしまい気道を圧迫しています。
口を開けて息をしていて、舌が本来の位置にないため、気道がどんどん狭くなる。気道が狭いために良質な呼吸や睡眠ができていない。その結果、脳や全身組織への酸素不足が起こり、あらゆる全身の発育や能力に悪影響を及ぼしてしまうというメカニズムです。
まだ子供の場合、命を落とすような無呼吸症候群になる事はないようですが、脳への充分な酸素供給がされず、それが発達障害の原因となり、脳の状態と密接な関係があると言うデータ報告が多く出てきています。
幼少期、成長期において、どれだけしっかり脳に酸素が供給されているかという事はお子さんの発育にとって重要だと言えます。
口腔機能発達不全症は、大人になってからでは改善が難しいため、早期に発見し悪い癖の修正や治療をしてあげることが肝心になってきます。
そのため歯科医院での口腔機能発達不全症における対応が、厚労省より保険診療の指針として示されておりまして、そのガイドラインに基づいて当院ではお子さんの口腔機能管理のサポートに日々取り組んでおります。
口腔機能発達不全症の診断
小児口腔機能不全症のチェック項目
診断の際には「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」(日本歯科医学会)に示されているチェック項目を使用します。
それぞれの項目についてお子さんや保護者に問診を行いチェックしていきます。
15歳未満の患者様で、チェック項目【C1〜12】のうち2つ以上に該当(咀嚼機能【C1〜6】中のいずれかの1つ以上を含む)する場合には、口腔機能発達不全症と診断される可能性があります。
食べる機能
咀嚼機能
【C-1】歯の萌出に遅れがある
【C-2】機能的因子による歯列・咬合の異常がある:乳歯列完成後(3歳以降)に評価
【C-3】咀嚼に影響するう触がある:離乳完了後(1歳半以降)に評価
【C-4】強く咬みしめられない:乳歯列完成後(3歳以降)に評価
【C-5】咀嚼時間が長すぎる、短すぎる:乳歯列完成後(3歳以降)に評価
【C-6】偏咀嚼がある:乳歯列完成後(3歳以降)に評価
嚥下機能
【C-7】舌の突出(乳児嚥下の残存)がみられる(離乳完了後)
食行動
【C-8】哺乳量・食べる量、回数が多すぎたり少なすぎたりムラがあるなど
話す機能
構音機能
【C-9】構音に障害がある(音の置換、省略、歪みなどがある)
【C-10】口唇の閉鎖不全がある(安静時に口唇閉鎖を認めない)
【C-11】口腔習癖がある
【C-12】舌小帯に異常がある
その他の機能
栄養/体格
【C-13】やせ、または肥満である(カウプ指数・ローレル指数で評価)
その他
【C-14】口呼吸がある
【C-15】口蓋扁桃等に肥大がある
【C-16】睡眠時のいびきがある
【C-17】上記以外の問題点
具体的にどうやって治療、管理していくのでしょうか?
問診や検査の結果、口腔機能発達不全症と診断した場合は、管理計画書を作成します。
治療はその計画書に沿ってトレーニングや指導を行っていくことになります。
このとき、口腔機能の発達不全の原因が、お口ではなく、医科的な分野の可能性がある場合には、専門の医療機関へ紹介し、そちらでのサポートも受けていただくことになります。
トレーニングや指導を開始してからは、月に1回程度来院して、指導と状態の評価を行っていきます。
生活習慣や食事の改善を行う場合は主にご家庭で取り組むことになりますので、本人のモチベーション維持と保護者の理解や協力が不可欠になります。
口腔機能の改善がみられるかどうかを再評価し、改善が見られる場合には終了となりますが、引き続き治療が必要な時は管理計画を再度見直し、立て直していく必要があります。
治療が思うように進まない時は中止と判断することもあります。
治療の目指すべきゴールは?
口腔機能発達不全症のゴールは、きれいな歯ならびや正しい噛み合わせを獲得するだけではありません。
治療のゴールは、そのお子さんごとに合わせた設定をしてあげて、人間の成長発育の基盤とも言える、正しい咀嚼・嚥下・呼吸を習得させて、「おいしく食べる」「友達と楽しくおしゃべりする」「笑顔ですごす」という人間らしい喜びを十分に感じられるようにしてあげることにあります。
指導や訓練によって必ず完全に治るとは限りませんが、子供達の健やかな成長と明るい未来を支えるためには、歯科医院やDrだけでなく、保護者とも協力し、ご家庭でのサポート体制も整えていくことが大切です。
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